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事故物件の売却相場は通常の何割?価格の決まり方と告知義務のポイントを解説

告知事項がある不動産

木下 純也

筆者 木下 純也

不動産キャリア36年

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所有している物件で人が亡くなったことがあり、このまま売れるのか不安を感じていませんか。
相場よりどのくらい価格を下げるべきか、告知義務との関係が分からず、動けずにいる方も多いものです。
しかし、事故物件といっても状況や売り出し方によって、売却相場の下がり方や成約スピードは大きく変わります。
本記事では、事故物件・心理的瑕疵物件の基礎知識から、一般的に何割下がると言われている目安、告知義務と価格の関係、そしてできるだけ有利な条件で売却するコツまでを整理して解説します。
ご自身の事情に近いケースを知ることで、損をしない売却方法を具体的にイメージできるはずです。
まずは全体像から一緒に整理していきましょう。

事故物件とは?売却相場が下がる理由を整理

まず、事故物件とは、建物や敷地内で自殺や事件性のある死亡などが発生し、その事実が買主に心理的抵抗を与え得る物件を指すことが一般的です。
一方で、自然死や日常生活の中での不慮の死などは、経緯や状況によっては必ずしも事故物件とみなされない場合があります。
また、心理的瑕疵物件という用語は、こうした人の死に限らず、周辺に嫌悪施設があるなど、事情を知ることで購入をためらうおそれのある物件全般を含む概念として用いられています。
したがって、事故物件は心理的瑕疵物件の一種であり、通常物件とは買主が感じる安心感や受け止め方が大きく異なる点が特徴といえます。

次に、事故物件が市場で敬遠されやすい背景として、多くの人が死亡事故や事件のあった住まいに対して不安や恐怖心、縁起の悪さといった感情を抱きやすいことが挙げられます。
実際に、不動産に関する各種調査では、同じ条件であれば心理的瑕疵のない物件を選びたいと考える消費者が多数派である結果が示されています。
そのため、事故物件は購入や入居を検討する人の母数が少なくなり、売却活動に時間がかかりやすい傾向があります。
買主側からは「値引きされているなら検討したい」という見方をされることも多く、市場全体として通常物件より低い価格で評価されやすくなるのです。

さらに、事故物件の売却価格は、一般的に通常物件と比べて一定の割合で下がる傾向があるとされています。
不動産関連の解説や調査では、事故内容や経過年数などによって幅はあるものの、概ね相場価格の約1~5割程度の減額が目安として示されています。
具体的には、軽微な心理的瑕疵であれば1~2割減にとどまるケースがある一方、自殺や事件性の高い死亡があった場合には3~5割程度の値下がりとなる例も指摘されています。
このように、事故物件は内容や条件によって下落幅が変動しますが、通常物件と同水準の価格で売却することは難しいと考えておく必要があります。

項目 通常物件 事故物件
物件の定義 特段の瑕疵なし 人の死など心理的瑕疵
買主の印象 安心して検討しやすい 不安や抵抗感を抱きやすい
売却相場の目安 周辺相場と同水準 相場より1~5割減

事故物件の売却相場は通常の何割になるのか

事故物件の売却相場は、まず死亡原因によって値引き幅の傾向が大きく変わります。
複数の不動産関連情報では、自然死や病死で特殊清掃を要しない場合は、通常相場とほぼ同水準から最大でも約1割程度の下落にとどまる例が多いとされています。
一方で、孤独死で発見まで時間がかかり特殊清掃が必要になった場合や、自殺、事件性の高い死亡があった場合には、買主の心理的抵抗が強まりやすく、相場から2〜5割程度下がるケースがみられます。
特に社会的な注目を集めた重大事件などでは、5割を超える大幅な値下げが必要になることもあり、死因と状況が価格に与える影響は極めて大きいといえます。

同じ事故物件であっても、立地条件や築年数、物件種別によって、実際の価格下落率は変動します。
一般に、利便性が高く需要の強いエリアでは、心理的瑕疵があっても購入希望者が一定数見込めるため、値下げ幅が相対的に小さく抑えられる傾向があります。
また、築年数が進んでいる物件は、もともとの市場価格が低いため、同じ割合の値下げであっても絶対額は小さくなりますが、買主側は老朽化と心理的瑕疵を合わせて判断するため、割安感が乏しいと売却期間が長期化しやすくなります。
さらに、一戸建てか区分所有かといった物件種別によっても、近隣への噂の広まり方や管理状況が異なり、下落率に差が生じる点に注意が必要です。

こうした事情から、事故物件の売却を検討する際には、机上の割合だけで判断せず、客観的な実勢価格を把握することが重要です。
具体的には、国土交通省の取引価格情報検索や、公的な地価情報を確認し、まずは近隣の通常物件のおおよその水準を把握します。
そのうえで、過去の取引事例や統計から示されている死因別の下落幅の目安を参考にしつつ、自身の物件の立地や築年数、設備状態などを踏まえて、現実的な売出価格のレンジを検討していきます。
また、インターネット上の一括査定サービスなどを利用する場合には、心理的瑕疵の有無を正しく申告し、通常物件の査定価格と混同しないよう慎重に比較することが大切です。

条件区分 値引き幅の目安 相場確認の着眼点
自然死・病死
特殊清掃不要
通常相場〜1割減程度 近隣通常取引価格との微差
孤独死・自殺
特殊清掃を伴う場合
2〜5割減程度 立地条件と需要の強さ
重大事件・社会的関心の高い事案 5割超の大幅減も想定 風評の広がりと売却期間

告知義務が価格に与える影響とガイドライン

まず、売主には、取引対象となる不動産について重要な事実を買主に伝える義務があるとされています。
国土交通省は、令和3年10月に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表し、「人の死」が生じた物件に関する基本的な考え方を示しています。
このガイドラインでは、取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼす事案について、発生時期や場所、死因などを適切に説明すべきと整理されています。
そのため、告知が必要と判断される事案がある場合、価格交渉や成約の可否にも直接関わる要素となります。

次に、どのような場合に告知が必要か、不要かという点が重要です。
ガイドラインでは、対象不動産で亡くなった方が老衰や持病による自然死、または日常生活の中での不慮の事故死である場合、原則として告げなくてもよいとされています。
ただし、長期間放置された結果として特殊清掃や大規模な改修が行われたケースや、自殺・他殺など社会的影響が大きい事案は、買主の判断に重要な影響を及ぼすため、売買では時間の経過にかかわらず告知が必要と整理されています。
また、買主から人の死の有無について具体的な質問があった場合には、経過年数に関係なく、把握している事実を誠実に説明することが求められます。

一方で、告知義務を怠った場合のリスクも無視できません。
本来であれば告知すべき人の死に関する事案を隠したまま売買契約を締結した場合、買主から契約解除や損害賠償を求められる可能性があります。
その結果、売買代金の返還や、再度売却活動をやり直す負担が生じるだけでなく、「説明不足」の印象から、次の価格交渉でも大きな値引きを迫られるおそれがあります。
このため、売主としては、どこまで告知する必要があるかをガイドラインに沿って整理しつつ、早い段階で不動産の専門家に相談し、リスクを抑えながら売却価格を検討していくことが重要です。

区分 告知の要否 価格への影響イメージ
自然死・日常の不慮の死 原則告知不要 価格への影響は小さい傾向
自殺・他殺・特殊清掃等 売買では告知必要 心理的負担から値引き要因
告知義務違反が疑われる場合 紛争・訴訟に発展する可能性 契約解除や大幅値引きリスク

事故物件をできるだけ有利な条件で売却するコツ

事故物件をできるだけ有利な条件で売却するためには、まず価格設定の考え方を整理しておくことが大切です。
一般的に心理的瑕疵がある場合、通常の相場より一定の下げ幅を設ける必要がありますが、売却を急ぐのか、時間をかけてもできるだけ高く売りたいのかによって適切な水準は変わります。
そこで、近隣の通常物件の成約価格や、同種の事故物件の事例などを参考にしながら、想定売却期間とのバランスを意識して値付けを検討することが重要になります。
安易に大幅な値下げを行う前に、売却戦略全体を整理しておくことがおすすめです。

次に、室内外の印象をできるかぎり整えることが、価格と成約スピードの両面で効果的です。
必要に応じて内装の一部リフォームや設備交換を行うことで、事故物件であることによる不安感を和らげ、購入希望者が具体的な生活をイメージしやすくなります。
また、不用品の撤去や清掃、簡易なハウスクリーニングなど、現況を整理するだけでも室内の印象は大きく変わります。
こうした手入れの有無は、同程度の価格帯の中で検討される他物件との差別化にもつながります。

さらに、売却前に不動産取引の実務に詳しい専門家へ相談しておくことも、有利な条件で進めるうえで重要です。
相談にあたっては、過去の事故の内容や時期、原状回復やリフォームの実施状況、近年の修繕履歴などを整理した資料を準備しておくと、より具体的な助言を受けやすくなります。
また、告知義務への対応方針や想定される価格帯、販売活動の進め方などについて、事前に見通しを持っておくことで、交渉の場面でも落ち着いて判断しやすくなります。
このように、情報と方針を整えておくことが、結果的に価格面でも条件面でも納得度の高い売却につながります。

売却前の準備 印象改善の工夫 専門家相談で確認したい点
事故内容と時期の整理 室内の不用品撤去 想定される価格帯
修繕履歴と資料保管 簡易リフォームの検討 告知内容と説明方法
近隣相場の把握 徹底した清掃実施 売却期間と戦略方針

まとめ

事故物件は理由や状況によって、通常相場から1~5割程度下がることが多いと言われます。
ただし、死亡原因や築年数、間取りなどの条件、さらに告知義務の有無によって価格は大きく変わります。
自己判断で安くし過ぎたり、告知を曖昧にすると、トラブルや損失につながるおそれがあります。
適切な告知内容の整理と、実勢相場に基づく価格設定が重要です。
具体的な売却価格の目安や、告知範囲の判断で迷われた方は、ぜひ一度当社へご相談ください。

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