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連棟式建物長屋の売却方法を解説!隣家の同意が必要なケースと注意点

相続・空き家

木下 純也

筆者 木下 純也

不動産キャリア36年

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相続や空き家の整理をきっかけに、連棟式建物を売却・解体したいが、隣家の同意が必要なのか分からず手を止めていないでしょうか。
一戸建てと違い、壁や基礎を隣家と共有する長屋は、構造も権利関係も少し複雑です。
そのため、どこまで自分の判断で進められるのか、どの場面で隣家の承諾が必要になるのかを、事前に整理しておくことが重要です。
本記事では、連棟式建物の基本的な仕組みから、売却時に隣家の同意が必要となる典型的なケース、さらに具体的な売却方法と進め方までを分かりやすく解説します。
不必要なトラブルを避けながら、できるだけ有利な条件で売却を進めたい方は、ぜひ参考にしてください。

連棟式建物(長屋)とは?構造と法律上の位置づけ

連棟式建物としての長屋は、建築基準法上、2戸以上の住戸が横に連なり、住戸間が壁で区切られていて相互に行き来できず、各戸が直接外部に出入りできる建築物とされています。
一戸建ては1棟が独立しており、周囲の壁や屋根、基礎を他の建物と共有しない点が大きな違いです。
一方、一般的にテラスハウスと呼ばれる形式は、建築基準法上は長屋に含まれることが多く、外観は一戸建てが並んでいるようでも、法律上は1棟の長屋として扱われる場合があります。
このように、外見だけでは区別しにくいため、登記事項証明書や建築確認図書などで、法的な種類を確認することが重要です。

長屋の多くは、隣戸と壁や屋根だけでなく、柱や梁、基礎といった主要な構造部分を連続させて一体的に設計されています。
そのため、見かけ上は区分されていても、構造計算上は全体で1棟の建物として成り立っている事例が少なくありません。
この構造的な一体性があるため、ある戸だけを解体したり、切り離したりしようとすると、隣戸の耐力壁や屋根の支持に影響し、補強工事が必要となることが多いです。
結果として、物理的な独立性が低いことが、権利関係の調整や工事の計画を難しくする一因となります。

また、長屋には、接道条件や敷地形状の関係から、いわゆる再建築不可物件となっているものが一定数含まれていると指摘されています。
建築基準法では、原則として敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していなければ、新たな建物を建てることができず、この要件を満たさない場合、建替えが難しくなります。
加えて、各戸の敷地が細分化されている長屋では、通路部分が敷地外であったり、共有名義であったりするなど、権利関係が複雑な事例も多いです。
そのため、売却や建替えを検討する際には、接道状況や再建築の可否を含めて、法的・物理的な制約を事前に整理しておくことが欠かせません。

建物種別 構造上の特徴 法律上の位置づけ
一戸建て住宅 壁や基礎が他戸と非共有 1筆敷地上の独立建物
長屋(連棟式) 壁や柱・基礎を隣戸と共有 複数戸で1棟と扱われる場合
テラスハウス 外観は戸建て連続形態 多くが長屋として扱われる

連棟式建物の売却は可能?隣家の同意が必要な場面

連棟式建物(長屋)の各戸は、通常それぞれ独立した所有権の対象となるため、所有者が自らの区画を第三者に売却すること自体は原則として可能です。
この点は、区分所有建物の専有部分や、一般的な一戸建て住宅と同様に、所有権の処分自由が民法で認められていることが基本的な考え方になります。
したがって、単に所有者が買主を見つけて売買契約を締結し、所有権移転登記を行うだけであれば、隣家の同意が必ずしも要件とされるものではありません。
もっとも、現実の取引では建物の構造や将来の利用に関する説明が重要となるため、隣家との関係性も含めた事前確認が欠かせません。

一方で、建物の解体や建替え、連棟部分の切り離し工事など、構造そのものに影響を与える行為を行う場合には、隣家の同意や承諾書が求められる場面が多くなります。
連棟式建物では、壁や柱、基礎の一部を隣家と共用している例が少なくなく、片側だけが解体すると、隣家の耐力や防火性能に支障が生じるおそれがあるためです。
このため、建築基準法に基づく確認申請や、工事中の安全確保、雨仕舞いなどの観点から、設計段階で隣家側との協議や同意書の取得を前提としている自治体も見られます。
また、境界付近での足場設置や一時的な立入りなど、民法上の隣地使用に関する合意も必要となることが一般的です。

さらに、隣家の所有者が行方不明であったり、相続が長期間未了のままで権利関係が複雑化していたりする場合には、工事や売却の調整が一層難しくなります。
このようなとき、家庭裁判所に申し立てて、不在者財産管理人の選任を受ける制度が民法上用意されており、選任された管理人が不在者に代わって必要な法律行為を行うことができます。
また、所有者不明土地や建物に関する問題については、近年、国土交通省や法務省を中心に公的な手続きや相談窓口の整備が進められており、自治体の空き家対策担当部署や専門機関への相談が推奨されています。
隣家との連絡が困難な長屋の売却や解体を検討する際には、こうした公的な制度や手続きを視野に入れながら計画を立てることが大切です。

場面 隣家の同意の要否 主な確認ポイント
所有権の売買のみ 原則不要 登記内容と区画範囲
解体や建替え工事 同意必要な場合 共用部分と構造安全性
隣家所有者が不明 公的手続き検討 不在者財産管理人制度

連棟式建物(長屋)の主な売却方法と進め方

連棟式建物を現状のまま一戸として売却する場合でも、一般的な一戸建てと同じく所有権の移転は可能です。
ただし、隣家と壁や基礎を共有しているため、建物の増改築や解体の自由度が低いことから、買主が利用方法を検討しにくい面があります。
また、再建築の可否や接道状況など、将来の建替えに関わる条件を重要視する買主が多いため、売却前に法的制約や物理的条件を整理して説明できるようにしておくことが大切です。
このような点を踏まえて価格設定や販売活動を行うことで、後のトラブルを避けながら契約を進めやすくなります。

次に考えられるのが、隣家に対して売却を打診する方法です。
隣家が自らの住戸と合わせて利用したい、あるいは敷地をまとめて有効活用したいと考えている場合、連棟全体として一体的に売却する道が開けることがあります。
複数戸をまとめて売却する場合は、各戸の所有者全員の意思確認と合意形成が不可欠であり、売却価格の配分方法や引渡し時期を事前にすり合わせておくことが重要です。
あわせて、連棟全体として建替えや共同利用を検討している場合には、今後の計画や費用負担の考え方についても、書面で整理しておくと安心です。

さらに、老朽化が進んでいる場合には、解体や切り離し、あるいはリフォームを行ってから売却する選択肢もあります。
解体や切り離しには構造上の検討が必要であり、隣家の同意や行政への確認が求められる場合があるため、工事前の調査と協議に一定の期間を要します。
一般に、連棟式建物の解体費用は建物の規模や立地条件によって大きく変動しますが、構造が複雑な分だけ、単独の一戸建てよりも見積もりと工程管理に注意が必要です。
一方で、必要な補修やリフォームを行うことで、安全性や見た目が改善され、買主にとっての安心感が増すため、売却までの期間を短縮できる可能性もあります。

売却方法の種類 主なメリット 主な注意点
現状のまま一戸売却 手続き比較的簡潔 再建築可否の説明必須
隣家や連棟全体へ売却 一体活用による価値向上 所有者全員の合意形成
解体・リフォーム後売却 建物状態改善による安心感 工事費用と期間の事前確認

トラブルを防ぎスムーズに売却するためのチェックポイント

連棟式建物を売却する前には、まず登記簿で土地と建物の名義、持分、共有部分の有無を確認することが重要です。
あわせて、境界標や塀、屋根や雨どいなどが隣地へ越境していないか、現地での目視確認も行っておくと安心です。
さらに、建築基準法上の接道義務や再建築不可の可能性についても、自治体の窓口や法務局の資料などで調べておく必要があります。
このように権利関係と建築規制を事前に整理しておくことで、売却後の紛争リスクを大きく減らせます。

次に、隣家への事前説明は早めかつ丁寧に行うことが大切です。
売却や解体、外壁工事などで騒音や足場の設置が見込まれる場合は、工事内容や予定期間、出入りする業者の範囲を具体的に伝えるようにします。
そのうえで、足場を組むために隣地を一時的に使用する場合や、共有部分の補修方法については、日時や負担範囲を含めて書面に残しておくと後日の誤解を避けられます。
口頭の約束だけに頼らず、簡潔でもよいので合意内容を文書化しておくことが、連棟式建物では特に有効です。

また、売却時には相続税や譲渡所得税などの税金についても早めに確認しておく必要があります。
相続した空き家を一定の条件で売却した場合に適用される「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」など、国土交通省や国税庁が公表している最新の制度を把握しておくと、資金計画が立てやすくなります。
ただし、適用要件や期限は複雑なため、売却を検討し始めた段階で、税理士など税務の専門家へ相談することが望ましいです。
売却契約の前に税負担の概算を確認しておくことで、手取り額の見込み違いによるトラブルも防げます。

確認項目 主な内容 トラブル予防効果
登記と境界の確認 名義・持分・越境状況 権利紛争・越境問題防止
建築規制の把握 接道義務・再建築可否 再建築不可による苦情防止
隣家との合意文書 工事内容・使用範囲明記 工事中の近隣トラブル防止
税金と制度の確認 特別控除・申告期限 税負担の行き違い防止

まとめ

連棟式建物(長屋)は構造や法律上の制約が多く、一般の一戸建てとは売却の考え方が大きく異なります。
売却自体に隣家の同意は不要な場合が多い一方で、解体や切り離し、建替えには同意や書面が必要となることがあり、事前の確認が欠かせません。
権利関係や建築規制、税金のポイントを整理しながら、隣家への説明や合意形成を丁寧に進めることで、トラブルを避けた売却が可能になります。
当社では、連棟式建物特有の悩みや不安をお伺いし、最適な売却方法や進め方を個別にご提案しています。
「自分のケースで何から始めればよいのか知りたい」という方は、まずはお気軽にご相談ください。

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