任意売却での「抵当権消滅請求」とは?代価弁済との違いやポイントも解説

任意売却

木下 純也

筆者 木下 純也

不動産キャリア35年

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任意売却での「抵当権消滅請求」とは?代価弁済との違いやポイントも解説

この記事の執筆者

木下 純也

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豊中市の売却担当エージェント

業界歴:35年以上
売買実績:3,000件以上
保有資格:宅地建物取引士

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住宅ローンの返済が困難になると、売買代金を返済に充てる任意売却が必要になるケースがあります。
このときに重要となるのが「抵当権消滅請求」ですが、今まで見聞きした経験がない方も多いでしょう。
そこで、抵当権消滅請求とは何か、代価弁済の違いや知っておきたいポイントと併せて解説します。

任意売却における抵当権消滅請求とは

任意売却における抵当権消滅請求とは

住宅ローンを滞納すると、自宅が競売にかけられたのち、退去命令が出されて自宅を追い出されるおそれがあります。
自宅を失う前に、債務者は金融機関と相談して任意売却を進めますが、このときに重要となるポイントが抵当権消滅請求の存在です。

抵当権消滅請求とは

抵当権消滅請求は、抵当権者を対象に、抵当不動産の第三取得者が抵当権を消滅するよう請求する権利を指します。
民法379条にて、以下のように定められています。
抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。
抵当不動産と第三取得者は、それぞれ抵当権付きの不動産と、抵当権付きの不動産を所有する権利を得た方を指します。

抵当権消滅請求の例

抵当権消滅請求への理解を深めるためにも、ここで例を挙げて考えてみましょう。
お金を借りる側(債務者)をA、お金を貸す側(債権者)をBと仮定し、以下の内容でお金の貸し借りなどがあったとします。

●債務者A:債権者Bから1,200万円借りた
●債権者B:債務者Aに1,200万円貸し、債務者Aが所有する不動産に抵当権を設定した


AとBとの間でお金の貸し借りが発生したのち、債務者Aが友人であるCに対し、抵当権付きの不動産を900万円で売却したとします。
抵当不動産を取得したCは第三取得者となり、債権者Bに不動産の売買代金を支払うとともに抵当権の消滅を依頼します。
この抵当権を消滅してもらうよう依頼する行為が抵当権消滅請求となるのです。

任意売却をおこなうときの抵当権消滅請求とは

任意売却において抵当権消滅請求を実行するには、抵当不動産を購入する第三取得者がいなければなりません。
つまり、抵当権が設定された不動産の取得を希望する方が現れない限り、任意売却とともに抵当権消滅請求を依頼することは不可能となります。
なお、第三取得者が見つかり、抵当権消滅請求をおこなうときは、登記簿に掲載されているすべての抵当権者に対し、書面の送達が必要です。
そして、送達先はあくまでも登記簿に掲載された抵当権者であり、登記簿に名前のない抵当権者には、抵当権消滅請求に関する書類を送る必要はありません。

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任意売却における抵当権消滅請求と代価弁済の違いとは

任意売却における抵当権消滅請求と代価弁済の違いとは

任意売却と関わりのある抵当権消滅請求を知るにあたり、確認しておきたいのが代価弁済です。
抵当権消滅請求はもちろん、代価弁済も第三取得者を守るための制度ではありますが、それ以外の部分にはさまざまな違いが見られます。

代価弁済とは

代価弁済とは、抵当不動産の所有権(地上権)を買い受けた者(売買)が抵当権を設定した相手の請求に応じ、代価を弁済すると抵当権が消滅される制度を指します。
代価とは、抵当権者から第三取得者に対して請求される金額であり、抵当権の消滅は債務者に対してではなく、第三取得者のためにおこなわれるものです。

抵当権消滅請求と代価弁済における違い

抵当権消滅請求が代価弁済と異なる点は、抵当権の消滅を依頼する側です。
抵当権消滅請求は、抵当不動産を新たに所有する第三取得者から債権者へ金額を示し、抵当権を消滅するよう求めるものでした。
しかし、代価弁済は抵当権者、つまり債権者から第三取得者に対して支払い金額を提示する制度です。
なお、任意売却により抵当不動産を取得する方が代価弁済を求められたとしても、弁済請求に応じる必要はありません。
代価弁済への対応は任意であり、任意売却を通じて不動産を購入した第三取得者が拒否しても不動産はそのまま取得可能です。
任意売却で取得した不動産の抵当権を消滅してもらいたいなら、代価弁済の求めに応じたほうが良いという認識で問題ないでしょう。
また、抵当権消滅請求と代価弁済の間には、ほかにも複数の違いが見られます。
まず、保証人に抵当権消滅請求は認められていない一方、代価弁済の請求は可能です。
抵当権者から保証人に対して代価を弁済してほしいとの申し出があったとき、保証人は指定された金額を抵当権者に支払っても良いとされています。
抵当権が設定された不動産の地上権を取得した方も同様、代価弁済には対応できますが抵当権消滅請求には応じられません。
さらに、代価弁済に応じられる第三取得者は、不動産売買を通じて所有権もしくは地上権を買い受けた方に限定されます。
贈与あるいは相続による抵当不動産の取得は対象外です。
なお、抵当権消滅請求は、相続以外の方法で取得した不動産であれば応じられるため、幅広いケースで対応できる点も特徴的な違いといえるでしょう。

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任意売却において抵当権消滅請求をおこなうポイント

任意売却において抵当権消滅請求をおこなうポイント

任意売却を実行するにあたり抵当権消滅請求をおこなうには、複数のポイントを確認しておくことが大切です。

ポイント1.債務者に抵当権消滅請求をおこなう権利はない

任意売却で抵当不動産を手放すとしても、債務者側には抵当権消滅請求をおこなう権利がありません。
そもそも、債務者はお金を借りている側です。
債務者が抵当権抹消請求の権利を有すると仮定したとき、もし債務者からの求めに応じて抵当権を抹消すると、債権者は担保を失います。
全額返金してもらえない状態で担保がなくなるのは、債権者にとっては大きな不利益となるため、全額を返済していない状態で債権者に抵当権消滅請求をするのは不可能なのです。

ポイント2.みなし承諾になる期間がある

抵当権消滅請求をおこなうためのポイントとしては、みなし承諾とされる期間の存在が重要です。
抵当権消滅請求をするには、登記簿に記載のある全債権者に書面で送達する必要がありますが、書面が届いても承諾されないケースは珍しくありません。
手続きがスムーズに進まないと、第三取得者はもちろん、不動産流通にも悪影響をおよぼす可能性があります。
ゆえに、抵当権消滅請求に関する書類が抵当権者の手元に届いてから、不動産が競売にかけられるまで2か月以上経過すると、抵当権者は抵当権消滅請求に承諾したと判断されます。
任意売却により抵当権消滅請求の書類を送っても連絡がこないときは、送達から2か月を期間の目安として考えておくと良いでしょう。

ポイント3.抵当権消滅請求が可能な時期がある

抵当権消滅請求をおこなうにあたっては、請求できる時期が設定されている点を覚えておく必要があります。
住宅ローンを完済する前に抵当権消滅請求をおこないたいなら、競売による差し押さえが発生する前に請求しましょう。
仮に、不動産が競売にかけられ差し押さえの効力が発生すると、対象の不動産を自由に処分できなくなり、抵当権消滅請求も不可能となります。
手遅れにならないよう、住宅ローン残債がある状態での抵当権消滅請求を考えている方は、早めの行動を心がけることが大切です。
また、住宅ローンを完済したあとも、不動産に抵当権を設定する必要がなくなるため、抵当権消滅請求が可能です。

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まとめ

抵当権消滅請求は、抵当権付き不動産の第三取得者から抵当権者に対し、抵当権を消滅するよう請求する権利を指します。
間違いやすい言葉として代価弁済がありますが、保証人からの請求可否など複数の特徴に違いが見られます。
みなし承諾の期間や請求時期などのポイントを理解したうえで任意売却を検討しましょう。


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